内閣府が8日発表した4~6月期の国内総生産(

 安倍晋三首相は8日開かれた政府の未来投資会議で、来年6月ごろを目指す次の成長戦略の策定に向け「生産性・供給システム革命」をテーマに政策を検討するよう指示した。イノベーション(技術革新)を通じ、少子高齢化で潜在成長率が0.8%程度と低迷する日本経済の成長力を高める。もっとも政策の実を挙げるには、ほかの政策会議との連携を通じた、日本経済に対する効果の分析や規制緩和策の検討が欠かせない。

 安倍首相は会議で「生産性革命こそがデフレ脱却の道筋。これまでにない思い切った政策を講じていく」とあいさつした。

 茂木敏充経済再生担当相は会議後の会見で、成長力強化に向け「人材の質を高める人づくり革命」「生産性革命」の2本柱に最重点で取り組むとし、前者を新設の「人生100年時代構想会議」、後者を「未来投資会議で議論を深める」と述べた。

 未来投資会議では(1)生産性を飛躍的に高める投資(2)「第4次産業革命」の普及(3)「生産性・供給システム革命」に必要な環境整備-の3つの課題に取り組む。

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 IoT(モノのインターネット)やロボット、自動走行といった最新技術、革新的事業を育てるため法規制を一時的に適用しない新規制緩和制度(サンドボックス制度)などを活用する考えだ。

 今後開かれる会議では民間議員の提言も踏まえ、各回ごとに各テーマに沿った個別政策を打ち出し、成長戦略へ反映させる考えだ。

 ただ、政府は「生産性の向上」を最大の目標として“約束”した以上、各政策がどの程度の効果を発揮するか検証しなければ約束を果たせるのか分からない。この点、日本経済の生産性をはかる指標「全要素生産性(TFP)」や潜在成長率の推計は、分野別の「ミクロ政策」を扱う未来投資会議より、経済全体を対象とする「マクロ政策」を扱う経済財政諮問会議の方が適している。分析にあたっては、両会議の緊密な協力が重要との声は政府周辺でも強い。

 また、医療や農業、交通分野などでイノベーションを進めるさいは、各種の法規制が障害となる。政策ごとにどのような規制緩和が必要か現実的な検討を進めるため、規制改革推進会議との協力も重要となる。

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 どこまで“縦割り”を廃し、政府一丸で日本経済を再浮揚させられるか。新たな司令塔となった茂木担当相のリーダーシップが問われそうだ。(山口暢彦)